インド連立政権を揺さぶる地方小政党の大躍進

執筆者:山多豪太 2007年1月号
カテゴリ: 国際

[ニューデリー発]有権者数六億六千万人。「世界最大の民主主義国」インドの政治は、独立六十周年を控えて大きな転換点を迎えている。ヒンドゥー教色の強いインド人民党(BJP)の台頭は、老舗・国民会議派との二大政党時代到来を一瞬予感させた。だが、左翼政党の伸長や地方政党の大躍進、さらには相次ぐ新党結成などで、多党化と地方分権の流れが鮮明となり、政権運営は一段と多難になりつつある。 まず動き始めたのは総人口の一三%、約一億四千万人に達するイスラム教徒(ムスリム)たちだ。彼らはおおむね穏健かつ平和に暮らしているが、ヒンドゥー教徒やキリスト教徒らに比べると所得や雇用、教育水準などで依然大きな差がある。「大政党はムスリムに何もしてくれない。今こそ我々は本格的な代表者を議会に送り込む必要がある」――。インド最大のモスク「ジャマ・マスジド」の主管導師アフマド・ブハリ師は二〇〇六年夏、約一億七千万人がひしめくインド最大の州ウッタルプラデシュ州で新政党「ウッタルプラデシュ統一民主戦線(UPUDF)」を立ち上げた。目指すは〇七年春の同州議会選だ。だが同師は「我々は決してイスラム政党ではない」と強調。選挙公約も「ムスリムや被差別カースト民の生活・権利の向上」など極めて現実的で宗教色は薄い。紅茶の大産地である北東部アッサム州でも、五月の州議会選で前月に登録したばかりの親イスラム政党が百二十六議席中十議席を獲得し話題となった。

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