アベノミクスを成功に導く「3つの規制改革」

八代尚宏
執筆者:八代尚宏 2015年1月5日

 先の衆議院選挙では、アベノミクスが成功か失敗かが大きな争点となった。しかし、デフレからの脱却のための景気対策として、公共投資を増やすとともに、それが金利上昇に結びつかないように金融緩和でサポートする金融・財政政策と、日本経済の潜在成長率を高めるミクロ政策と組み合わせは、経済政策の基本である。アベノミクス自体が誤りと批判しても、何ら代替案を示せる筈はない。むしろ、反対の少ない金融・財政政策と比べて、「総論賛成・各論反対」のミクロ政策の成果について議論する必要がある。以下では、2015年の大きな課題として、都市開発、労働市場、社会保障の3分野に焦点を当てる。

 マクロ政策を補完する成長戦略のコアとなるものは、既存の制度・規制の改革である。規制改革については、とかく産業の生産性向上には有用だが、逆に需給ギャップを拡大させ、むしろデフレを悪化させるという誤解がある。そうではなく、既存の規制により抑制されている潜在的な需要を顕在化させることが、本来の規制改革の役割である。

高齢化を見据えた都市開発

 この典型例としては、第1に都市中心部の住宅容積率の引き上げがあり、これは国家戦略特区のひとつの柱となっている。東京をはじめとする大都市では、中心部でも2-3階建ての住宅が多く、貴重な都市空間が十分に活用されていない。これをパリやロンドンのような5-6階建ての中層住宅とオープンスペースを基本とした街作りとするには、容積率の大幅な引き上げと日照権の撤廃が必要である。そうすれば、住み易い街作りとともに、財政の支援なしに住宅投資を刺激でき、即効的な需要拡大効果が期待できる。これ固定資産税率の引き上げを組み合わせれば、いっそう土地の高度利用を促すことができる。

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執筆者プロフィール
八代尚宏
八代尚宏 1946年、大阪府生まれ。国際基督教大学客員教授・昭和女子大学特命教授。国際基督教大学教養学部、東京大学経済学部卒業。経済企画庁、OECD事務局、上智大学国際関係研究所教授、日本経済研究センター理事長等を経て、現職。メリーランド大学博士(経済学)。専門は労働経済学・日本経済論。主な著書に『現代日本の病理解明』(日経・経済図書文化賞)、『日本的雇用慣行の経済学』(石橋湛山賞)、『反グローバリズムの克服』など。
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