疲弊するロシアが陥った「中国一辺倒」外交の危うさ

 欧米の経済制裁や原油価格下落で疲弊するロシアが、中国への依存度を強め、「向中一辺倒」路線に舵を切った。両国関係は経済、軍事両面で未知の領域に入りつつあり、指導部からは「中露同盟論」まで出始めた。中露の緊密化は日本の安全保障に直接の脅威となり、米国でも「日本の対露制裁参加は、中露の接近を一段と強め、日本の安保上の利害が損なわれる」とする議論が出ている。

 

「中露同盟論」も

 プーチン政権の外交・安保政策の重鎮であるパトルシェフ安保会議書記はロシア新聞とのインタビュー(14年10月15日付)で、「米国は何十年にもわたり、モスクワを孤立させ、旧ソ連圏で影響力を削ごうとしてきた」と非難。「ロシアは今後、中国のような非欧米の新興大国と同盟を構築していく必要がある」と一定の中露同盟論を提案した。

フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
執筆者プロフィール
名越健郎(なごしけんろう) 1953年岡山県生まれ。東京外国語大学ロシア語科卒業。時事通信社に入社、外信部、バンコク支局、モスクワ支局、ワシントン支局、外信部長、編集局次長、仙台支社長を歴任。2011年、同社退社。拓殖大学海外事情研究所教授。国際教養大学特任教授を経て、2022年から拓殖大学特任教授。著書に、『秘密資金の戦後政党史』(新潮選書)、『ジョークで読む世界ウラ事情』(日経プレミアシリーズ)、『独裁者プーチン』(文春新書)など。
  • 24時間
  • 1週間
  • f
back to top