疲弊するロシアが陥った「中国一辺倒」外交の危うさ

名越健郎
執筆者:名越健郎 2015年1月2日
エリア: ロシア 中国・台湾

 欧米の経済制裁や原油価格下落で疲弊するロシアが、中国への依存度を強め、「向中一辺倒」路線に舵を切った。両国関係は経済、軍事両面で未知の領域に入りつつあり、指導部からは「中露同盟論」まで出始めた。中露の緊密化は日本の安全保障に直接の脅威となり、米国でも「日本の対露制裁参加は、中露の接近を一段と強め、日本の安保上の利害が損なわれる」とする議論が出ている。

 

「中露同盟論」も

 プーチン政権の外交・安保政策の重鎮であるパトルシェフ安保会議書記はロシア新聞とのインタビュー(14年10月15日付)で、「米国は何十年にもわたり、モスクワを孤立させ、旧ソ連圏で影響力を削ごうとしてきた」と非難。「ロシアは今後、中国のような非欧米の新興大国と同盟を構築していく必要がある」と一定の中露同盟論を提案した。

 プーチン大統領も4月17日の国民対話で、「中露関係は信頼と協力の点で、前例がないほど成功裏に進展している。政治協力に加え、国際問題や安全保障でも意見が一致し、それが政府間関係の基礎になっている。われわれはむろん隣国であり、ある意味で同盟国だ」と述べた。大統領は慌てて「軍事、政治的同盟の問題は提起しない」と付け加えたが、これほど踏み込んだ発言をしたのは初めて。苦境に追い込まれたロシア指導部内で「中露同盟論」が浮上しつつあるかにみえる。

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執筆者プロフィール
名越健郎
名越健郎 1953年岡山県生れ。東京外国語大学ロシア語科卒業。時事通信社に入社、外信部、バンコク支局、モスクワ支局、ワシントン支局、外信部長を歴任。2011年、同社退社。現在、拓殖大学海外事情研究所教授。国際教養大学東アジア調査研究センター特任教授。著書に『クレムリン秘密文書は語る―闇の日ソ関係史』(中公新書)、『独裁者たちへ!!―ひと口レジスタンス459』(講談社)、『ジョークで読む国際政治』(新潮新書)、『独裁者プーチン』(文春新書)など。
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