インテリジェンス・ナウ

謎だらけのニヤゾフ大統領「急死」ガス大国トルクメニスタンは誰の手に

 昨年末、トルクメニスタンの独裁者ニヤゾフ大統領(六六)が急死した。一時流れた「ロシアの陰謀説」に根拠はないが、「荒唐無稽」と即断できないほど微妙な問題が隠されているようだ。  後継を選ぶ大統領選挙は二月十一日。世界第五位の天然ガス埋蔵量を擁し、戦略的な要衝に位置するこの国の帰趨は、国際情勢に重大な影響を与える。  死因は「急性心不全」と発表された。もともと心臓に問題があり、一九九七年ドイツで心臓バイパス手術を受けている。だが、死の二カ月前は、昨年十月二十四日にドイツ人心臓専門医が率いる七人の医師団が定期検査し、「異常なし」だった。十一月初めドイツのシュタインマイヤー外相、同二十三日日本の斎藤泰雄駐ロシア大使と会談、死の三日前には欧州連合(EU)高官とも会った。健康悪化の情報は伝えられていなかった。

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執筆者プロフィール
春名幹男(はるなみきお) 1946年京都市生れ。国際アナリスト、NPO法人インテリジェンス研究所理事。大阪外国語大学(現大阪大学)ドイツ語学科卒。共同通信社に入社し、大阪社会部、本社外信部、ニューヨーク支局、ワシントン支局を経て93年ワシントン支局長。2004年特別編集委員。07年退社。名古屋大学大学院教授、早稲田大学客員教授を歴任。95年ボーン・上田記念国際記者賞、04年日本記者クラブ賞受賞。著書に『核地政学入門』(日刊工業新聞社)、『ヒバクシャ・イン・USA』(岩波新書)、『スクリュー音が消えた』(新潮社)、『秘密のファイル』(新潮文庫)、『米中冷戦と日本』(PHP)、『仮面の日米同盟』(文春新書)などがある。
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