笛吹けど踊らぬ「調和社会建設」に胡錦濤の慨嘆

執筆者:藤田洋毅 2007年2月号
カテゴリ: 国際
エリア: 中国・台湾

調和社会をつくるといえばきれいだが、要は現状がバラバラだということ。十月予定の党大会に向け、胡の悪戦苦闘は続く。「何か重要活動があるのかなあ」 北京市の西北郊外をドライブしていると同乗の軍幹部がつぶやいた。窓の外に向け顎をしゃくり「もうすぐトップが通過しますよ。八三四一が整列していますから」という。目を凝らせば、髪を刈り上げ左手にトランシーバーを握り締めた、眼光鋭く屈強そうな若者が、ほぼ五十メートルおきに数キロにわたって立っている。正規の軍服こそ着ていないものの、みな一見して軍支給の薄いカーキ色のシャツとズボン姿。党中央軍事委員会が管轄する軍専用の西苑飛行場、国防大学や軍事科学院などの重要施設、最高幹部の宿舎がある玉泉山に近い一帯だ。「胡さんか江さんですね」と軍幹部は言った。 はたしてほぼ四十分後、時速百キロ近い猛スピードで十台ほどの車列が目の前を疾駆して行った。サイレンは鳴らさないが、先頭車の屋根の上には赤と青の信号灯が回る。後続の高級車はすべてスモークウィンドウで、中はうかがいしれなかった。「八三四一」とは党中央弁公庁警衛局を指し、国家指導者や中南海、人民大会堂など重要施設を警護する中国軍の最精鋭部隊である。延安時代に連隊規模で編成した際の代号(編成番号)にちなみ、幹部らはいまでも「八三四一」と呼ぶ。

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