行き先のない旅
行き先のない旅(45)

「同じに見えるアジア人」の違いを伝えるアートの試み

大野ゆり子
執筆者:大野ゆり子 2007年2月号
カテゴリ: 国際 文化・歴史
エリア: 中国・台湾

 私は中国人に見えるらしい。中国系の人が多いマレーシアの入国審査で、「外国人」のところに並んでいると、「きちんとこっちに並びなさい」と、通りすがりの人に何回も言われ、最後には国内の人が通る窓口に連れていかれた。中国人の友人の家族に紹介されたときも、「あなたの顔は中国人だ」と問答無用だった。夫婦でどこかに行って中国の人に会うと、夫の前を素通りした人が、私のことは同胞だと思って、にこやかに「ニイハオ」と話しかけてくる。 小泉前首相の靖国参拝後、日中関係が厳しくなった折でも、個人的には皆がにこにこしてくれたので、中国人関係者が多いパーティに出ても、気詰まりな思いをせずに済んだ。 というわけで、アジア人同士でも、外見だけで、出身国をすぐに言い当てることは難しい。ましてや欧米人が見て、誰が日本人で、誰が韓国人で、誰が中国人かを言い当てるのは、ことのほか至難の業のようだ。 それじゃ、「みんな同じなの?」(ALLLOOKSAME?〈英語〉/TUTTTUGUALE?〈イタリア語〉)という問いかけで、日本、韓国、中国の社会のあり方やものの見方がどんなに違うかを、現代美術家の作品を通して掘り下げていく展覧会が、現在、イタリアのトリノ市で開かれている。

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執筆者プロフィール
大野ゆり子
大野ゆり子 エッセイスト。上智大学卒業。独カールスルーエ大学で修士号取得(美術史、ドイツ現代史)。読売新聞記者、新潮社編集者として「フォーサイト」創刊に立ち会ったのち、指揮者大野和士氏と結婚。クロアチア、イタリア、ドイツ、ベルギー、フランスの各国で生活し、現在、ブリュッセルとバルセロナに拠点を置く。
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