対米外交でこそ測られる「北朝鮮なら安倍」の真贋

執筆者:伊奈久喜 2007年3月号
エリア: 朝鮮半島 日本

拉致問題で男を上げ、ミサイル対処で名を売って総理に――。そして核実験への対応で政権を好スタートさせた安倍首相だが、アメリカと歩調を合わせずに解決できるほど北朝鮮問題はたやすくない。訪米すらしないで、アメリカを動かせるというのか。 まさにデジャビュ(既視感)である。北京で開かれていた六カ国協議で、二月十三日、北朝鮮が寧辺の核施設を停止し、他の核施設を申告する見返りに、他の五カ国がエネルギーを支援することで合意した。北朝鮮がまたも実質的な譲歩を免れたように見える結果である。 協議の焦点は、核放棄に向けた「初期段階の措置」にすぎず、それに対するエネルギー支援だった。検証措置や日程のはっきりしない、体裁を繕っただけの合意を出したところで、それは北朝鮮の実質的譲歩ではない。実質的譲歩とは、昨年の核実験後に国連安全保障理事会が採択した決議一七一八の履行の明示的な確認である。 決議が明記するように、すべての核兵器及び既存の核計画、弾道ミサイル開発計画を「完全な、検証可能な、かつ、不可逆的な方法で放棄する」と北朝鮮が明確に同意すれば、実質的譲歩である。日本にとっては拉致問題の前進がこれに加わる。そう考えると、今回も意味のある前進は何もなかった。

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