「イスラム国事件」を中国はどう見たか

野嶋剛
執筆者:野嶋剛 2015年2月8日
エリア: 中国・台湾 中東

「イスラム国」が起こした後藤健二さん、湯川遥菜さんの人質事件について、世界各国では、衝撃的に受け止められるとともに、残酷に殺害された2人への同情の声や「イスラム国」への譴責(けんせき)の声が広がっている。では、隣の大国・中国はどのようにこの事件を受け止めたのだろうか。

 最も「中国的」な反応は、日本の安倍政権が、この事件をきっかけにさらに強硬路線を歩むようになり、集団的自衛権の全面的解禁や、自衛隊の国防軍化、海外派兵、憲法改正などの「右傾化」にますます舵を切っていくのではないかという不安に焦点を当てる報道だ。

 

中国の常套手段

 中国新聞社の『中新網』というニュースサイトは、東京発の報道で「安倍は人質事件を利用し、海外への軍備拡張に動くかも知れないと日本世論が不安を感じている」というタイトルのニュースを流した。

 内容的には、日本のリベラル寄りの学者や野党の意見を集中的に紹介することで、日本に不安が広がっている雰囲気を強調する内容になっており、しばしば中国の外国情勢の報道では使われる手法であるとも言える。

 例えば、上智大学の中野晃一教授の「安倍政権はこの問題を切り口に、集団的自衛権の解釈拡大に動き、最終的には平和憲法の改正に向かうかも知れない」というコメントを紹介している。

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執筆者プロフィール
野嶋剛
野嶋剛 1968年生れ。ジャーナリスト。上智大学新聞学科卒。大学在学中に香港中文大学に留学。92年朝日新聞社入社後、佐賀支局、中国・アモイ大学留学、西部社会部を経て、シンガポール支局長や台北支局長として中国や台湾、アジア関連の報道に携わる。2016年4月からフリーに。著書に「イラク戦争従軍記」(朝日新聞社)、「ふたつの故宮博物院」(新潮選書)、「謎の名画・清明上河図」(勉誠出版)、「銀輪の巨人ジャイアント」(東洋経済新報社)、「ラスト・バタリオン 蒋介石と日本軍人たち」(講談社)、「認識・TAIWAN・電影 映画で知る台湾」(明石書店)、訳書に「チャイニーズ・ライフ」(明石書店)。
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