経済の頭で考えたこと
経済の頭で考えたこと(73)

「100年」「500年」で考える欧州・中東の「分断線」

田中直毅
執筆者:田中直毅 2015年2月17日

 日本では2020年のオリンピック・パラリンピックの開催が大きな展開軸となっている。それはこの年を境に戦後日本の象徴的な存在であった団塊の世代がおおむね70歳を越えていくからでもある。基礎的財政収支の黒字化という2020年度に向けての政府の目標も、財政破綻の回避のための最低限の条件と受け止められている。ポスト2020年は間違いなく21世紀の日本を映し出すだろう。だからこそ2020年の迎え方が問われているのだ。欧州にとっては分水嶺となる2017年の迎え方を巡って、今年から議論が展開されることになろう。ユーロ危機、ウクライナ危機、そして中東危機までもが重なり合うようにして、分断線を互いに増幅するように作用し兼ねないのだ。

 

宗教改革から500年

 2017年を500年遡る1517年は、ルターの宗教改革の開始の年だ。キリスト教会の腐敗の数々を糾弾したルターはやがて教皇から破門され、彼の主張に基づく新教は禁止されるに至った。プロテスタンティズム(新教)がもった経済社会的影響については、我々はマックス・ウェーバーの著作を通じて理解してきた。資本主義の精神として節倹や精勤が取り上げられ、それは召命を期す行為なのだという認識の提示は、非キリスト教徒にも多大な影響をもたらした。

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執筆者プロフィール
田中直毅
田中直毅 国際公共政策研究センター理事長。1945年生れ。国民経済研究協会主任研究員を経て、84年より本格的に評論活動を始める。専門は国際政治・経済。2007年4月から現職。政府審議会委員を多数歴任。著書に『最後の十年 日本経済の構想』(日本経済新聞社)、『マネーが止まった』(講談社)などがある。
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