ポロニウムアリマス

執筆者:名越健郎 2007年3月号
エリア: ヨーロッパ

 ロシアの反体制派、リトビネンコ連邦保安局(FSB)元中佐がロンドンで放射性物質「ポロニウム210」によって殺害された事件は、英捜査当局がFSBの元同僚ルゴボイを容疑者としたことで、FSB関与説が一段と強まった。 ルゴボイは昨年11月、ホテルのバーでリトビネンコ氏と会い、紅茶にポロニウムを混ぜて飲ませた疑い。元同僚のコフトンがポロニウムをロシアから持ち込み、「ウラジスラフ」という謎のロシア人が関与したと英メディアが報じている。プーチン大統領らKGB(旧ソ連国家保安委員会)の元中堅将校が中枢を固めるKGB政権の闇が、事件解明で暴露されかねない。

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執筆者プロフィール
名越健郎(なごしけんろう) 1953年岡山県生まれ。東京外国語大学ロシア語科卒業。時事通信社に入社、外信部、バンコク支局、モスクワ支局、ワシントン支局、外信部長、編集局次長、仙台支社長を歴任。2011年、同社退社。拓殖大学海外事情研究所教授。国際教養大学特任教授を経て、2022年から拓殖大学特任教授。著書に、『秘密資金の戦後政党史』(新潮選書)、『ジョークで読む世界ウラ事情』(日経プレミアシリーズ)、『独裁者プーチン』(文春新書)など。
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