国際論壇レビュー

世界の論壇も割れた「テロ」と「言論の自由」を改めて考える

執筆者:会田弘継 2015年2月26日

「言論・表現の自由」が無際限でないとしたら、どこに限界があるのか――。フランスの風刺週刊紙『シャルリー・エブド』への襲撃事件に続き、デンマークのカフェで「言論の自由」をめぐり開かれた集会が襲撃され、にわかに議論が沸騰した。当欄も含めたメディア全体の問題である。事件から少し距離を置けるようになった今、考えたい。

 事件はともに過激思想に影響されたイスラム系住民が絡み、直後にユダヤ人が被害を受ける襲撃が起きていることから、西欧諸国の「言論・表現の自由」と、イスラム系住民の信仰、反ユダヤ言論規制までを巻き込んで、複雑な論争となった。その複雑さはまず、シャルリー・エブドが掲げたムハンマドの風刺画をめぐり、各国の新聞が転載と見送りに分かれたことに浮き彫りにされた。

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執筆者プロフィール
会田弘継(あいだひろつぐ) 関西大学客員教授、ジャーナリスト。1951年生まれ。東京外語大英米語科卒。共同通信ジュネーブ支局長、ワシントン支局長、論説委員長などを務め、現在は共同通信客員論税委員、関西大学客員教授。近著に『世界の知性が語る「特別な日本』』 (新潮新書)『破綻するアメリカ』(岩波現代全書)、『トランプ現象とアメリカ保守思想』(左右社)、『増補改訂版 追跡・アメリカの思想家たち』(中公文庫)など。訳書にフランシス・フクヤマ著『政治の衰退』(講談社)など。
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