米共和党の「内部対立」を改めて浮き彫りにした「国土安全保障省」予算

足立正彦
執筆者:足立正彦 2015年3月7日
エリア: 北米

 米議会上下両院は、国土安全保障省の2015会計年度(2014年10月~15年9月)の予算案を賛成多数で可決し、オバマ大統領が同予算案に3月4日署名してようやく成立に至った。

 米国の会計年度は10月1日に始まり、9月30日に終わるが、中間選挙を控えていた昨年は、12月までの3カ月間の各省庁の暫定予算が9月に成立。さらに、2015会計年度予算案も、ほとんどの省庁分は、暫定予算失効前の昨年12月のレームダック会期中に成立していた。

 だが、国土安全保障省の予算だけは、レームダック会期での審議で再び期限が延長され、今年2月27日までの暫定予算となっていたのである。

 与党・民主党が惨敗した中間選挙直後の昨年11月、オバマ大統領は全米に滞在している不法移民のうち、子供が米国の市民権や永住権を持つ親については、一定の条件を満たしている場合、本国への強制送還の対象から除外する措置を大統領令に基づき発表。野党・共和党はこの措置に対する巻き返しを図るため、国土安全保障省についてだけ、暫定予算の期限延長をしていた。

 この大統領令によって、米国社会での約1100万人にも達する不法移民のうち、約500万人に米国の法的地位を付与して救済することとなった。ところが、こうした改正は大統領権限の乱用に他ならないとして、共和党が猛反発。移民制度改革を所管している国土安全保障省の移民法改正の関連支出を禁じる条項を予算案に盛り込むことで、事実上、改正を無効にすべく画策。つまり、同省の予算を「人質」に取る形で、今年1月に召集された第114議会での勝負に持ち込んだのである。

執筆者プロフィール
足立正彦
足立正彦 住友商事グローバルリサーチ シニアアナリスト。1965年生れ。90年、慶應義塾大学法学部卒業後、ハイテク・メーカーで日米経済摩擦案件にかかわる。2000年7月から4年間、米ワシントンDCで米国政治、日米通商問題、米議会動向、日米関係全般を調査・分析。06年4月より現職。米国大統領選挙、米国内政、日米通商関係、米国の対中東政策などを担当する。
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