金正恩体制「安定せず」(上)なぜ「遺訓統治」へ回帰するのか

平井久志
執筆者:平井久志 2015年3月12日
カテゴリ: 国際 外交・安全保障
エリア: 朝鮮半島

 金正日(キム・ジョンイル)総書記の死後3年を経て「独り立ち」への傾向を強めていた金正恩(キム・ジョンウン)政権が、再び金正日総書記の「遺訓統治」へ戻りつつある。そして、金正恩第1書記の独裁体制の強化とともに、場当たり人事が行われ、金正恩政権の不安定感が強まっている。

 これで、今年10月の党創建70周年という「大祝典場」にスムーズにたどり着くことができるのかどうか、明確な道筋が見えてこない。

 

重要会議が相次ぐ異例

 北朝鮮の例年の政治スケジュールは元日にその年の方針を示す「新年の辞」が発表され、次いで、この「新年の辞」の内容を貫徹するキャンペーンが展開され、3月から4月は米韓合同軍事演習が行われるので、これに対し弾道ミサイルの発射などの対抗措置で緊張を高めながら、国内統制を強化する。しかし、その一方で、2月16日の金正日総書記の誕生日から4月15日の金日成(キム・イルソン)主席の誕生日まで、平壌はある種の慶祝ムードに包まれ、米韓合同軍事演習の終了とともに、対話的な方向への転換がなされる。これがいつもの北朝鮮の政治的な流れだ。

 金正恩政権は過去3年間、こうした流れを繰り返しながらも、金正恩第1書記の「唯一的領導体系」という名の独裁体制を強化し、金正日総書記の「遺訓統治」を次第に抜け出しながら金正恩第1書記のリーダーシップを強化し「独り立ち」へと向かう傾向を強めていた。

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執筆者プロフィール
平井久志
平井久志 ジャーナリスト。1952年香川県生れ。75年早稲田大学法学部卒業、共同通信社に入社。外信部、ソウル支局長、北京特派員、編集委員兼論説委員などを経て2012年3月に定年退社。現在、共同通信客員論説委員。2002年、瀋陽事件報道で新聞協会賞受賞。同年、瀋陽事件や北朝鮮経済改革などの朝鮮問題報道でボーン・上田賞受賞。 著書に『ソウル打令―反日と嫌韓の谷間で―』『日韓子育て戦争―「虹」と「星」が架ける橋―』(共に徳間書店)、『コリア打令―あまりにダイナミックな韓国人の現住所―』(ビジネス社)、『なぜ北朝鮮は孤立するのか 金正日 破局へ向かう「先軍体制」』(新潮選書)『北朝鮮の指導体制と後継 金正日から金正恩へ』(岩波現代文庫)など。
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