南紀白浜を襲った「介護保険のパラドックス」

執筆者:吉富有治 2007年4月号
エリア: 日本

全国有数の観光地にして福祉の充実した町に高齢者が流入。その結果生じた思わぬ負担増に、行政も住民も戸惑っている。 和歌山県白浜町。紀伊半島の南部に位置し、南紀白浜とも呼ばれるこの町は、年間の平均気温が十七度という温暖な気候と、美しい海岸線や山並みに恵まれた自然豊かな景勝地である。白浜町は関西でも屈指の温泉街としても有名だ。優れた泉質と豊富な湯量の温泉は日本書紀にも登場し、愛媛県の道後温泉や兵庫県の有馬温泉と並び、日本三古湯のひとつに数えられている。 これまで、この風光明媚なリゾート地で目立っていたのは、温泉と海の幸を楽しむ観光客や、高級別荘の所有者などだった。最近目につくのは高齢者の姿だ。 白浜町の人口は二万四千人。そのうち六十五歳以上の高齢者は、後述する介護保険制度がスタートした平成十二年の段階で約六千二百人だった。いまでも町民の三・五人に一人は六十五歳以上(日本全体では八年後に四人に一人が六十五歳以上になると予測されている)だが、来年には約七千百人に増えると見られている。町民の高齢化は、必ずしも昔から住む町民が年を重ねたことによるものではない。「ここ四十年の間、町の人口はほぼ横ばいです。世代別の転入・転出者の統計はとっていないのですが、若年層が大都市へ移動する割に町の人口が減らないのは、白浜町で第二の人生を過ごすリタイア世代などが転入しているからだと思われます」(白浜町民生課)

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