テロリストの誕生(3)刑務所内での「思わぬ抜け道」

国末憲人
執筆者:国末憲人 2015年3月18日
エリア: ヨーロッパ 中東

 パリ南郊モンルージュで警察官を射殺し、その後パリ東部ヴァンセンヌ門のユダヤ人スーパーで4人を殺害した後に人質を取って立てこもり、最終的に射殺されたアメディ・クリバリは、マリ移民2世である。「クリバリ」は、マリを中心とする西アフリカ一円で非常に多い姓だ。連続テロ後の2月に南仏ニースでユダヤ教関連施設を警備していた兵士を襲って2人にけがを負わせたテロの容疑者ムサ・クリバリも同姓だが、姻戚関係はない。

 アメディ・クリバリは1982年2月27日、セーヌ川に面したパリ南郊ジュヴィジ=シュー=ロルジュで、マリからの移民家庭に生まれた。全部で10人の子どもの7番目で、アメディ以外は全員女の子だった。セーヌ川沿いに数キロさかのぼったグリニーで育った。

 彼が少年時代を過ごしたグリニー市内のグランド=ボルヌ地区は、麻薬の売人がうろつくような荒れた一角として知られる。学業は平凡だが気のいい少年だったクリバリは、周囲の友人たちの悪影響もあって、次第に商店荒らしや車上狙いに手を染める。職業高校在学中にはその方面ですっかり知られ、何度も警察にお世話になった。ただ、宗教に熱心だったとの証言はなく、イスラム過激派との接点もこの頃はうかがえない。

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執筆者プロフィール
国末憲人
国末憲人 1963年生れ。85年大阪大学卒。87年パリ第2大学新聞研究所を中退し朝日新聞社に入社。富山、徳島、大阪、広島勤務を経て2001-04年パリ支局員。外報部次長の後、07-10年パリ支局長を務め、GLOBE副編集長、本紙論説委員のあと、現在はGLOBE編集長。著書に『自爆テロリストの正体』(新潮新書)、『サルコジ―マーケティングで政治を変えた大統領―』(新潮選書)、『ポピュリズムに蝕まれるフランス』『イラク戦争の深淵』(いずれも草思社)、『ポピュリズム化する世界』(ダイヤモンド社)、共著書に『テロリストの軌跡―モハメド・アタを追う―』(草思社)などがある。
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