「文官統制」廃止の本質

柳澤協二
執筆者:柳澤協二 2015年3月24日
カテゴリ: 外交・安全保障

 3月、防衛省設置法改正案が国会に提出された。防衛装備庁を新設するための改正だが、同時に盛り込まれた設置法第12条の改正が話題となった。

 同条は、内部部局の官房長・局長が、防衛大臣が各幕僚長に対して行う指示、承認および隊務運営に関する一般的監督について補佐する旨を規定していた。これによって、内局が自衛隊に関する防衛大臣の決定に関する広範な補佐権限を根拠に各幕僚監部を事実上コントロールする、いわゆる文官統制の根拠となっていた条文である。

 防衛省における「文官統制」は、前身である警察予備隊に端を発している。1950年、朝鮮戦争が勃発すると、日本に駐留していた米軍主力が朝鮮半島に投入されることとなり、留守となった日本の治安維持のため、連合軍司令部の指示によって7万5千人の警察予備隊が設けられることとなった。

 当時、こうした大規模な部隊を急きょ立ち上げるためには、旧軍出身者を中核に起用せざるを得なかった一方、終戦からわずか5年というタイミングでは、旧軍の暴走を防ぐ手立てを講じなければならず、旧内務官僚を主体とする文官による中央統制のシステムを採用することとなった。この制度が、日本が独立を回復し、警察予備隊から保安隊、さらに自衛隊に至るまで、受け継がれることとなった。

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執筆者プロフィール
柳澤協二
柳澤協二 国際地政学研究所副理事長。1946年東京都生れ。70年東京大学法学部卒業後、防衛庁入庁。長官官房長、防衛研究所所長などを歴任。2004年4月から09年9月まで官房副長官補。
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