役人の“人材バンク”だった公営ギャンブルの落日

2007年5月号
カテゴリ: 政治 社会
エリア: 日本

 競輪、オートレース、競馬――。いま、全国で公営ギャンブルの廃止論議がかまびすしい。理由はただひとつ。売上が激減し、赤字が慢性化しているからだ。ただ、その衰退は奇貨となるかもしれない。行き詰まった末の苦しまぎれの動きとはいえ、これまでギャンブルの運営にあたってきた特殊法人のあり方を是正できる可能性があるのだ。 三月二十九日、ひとつの法案が参議院を通過した。自転車競技法・小型自動車競走法改正案。競輪とオートレースの売上はピーク(一九九一年)の半分以下に落ち込んでいる。背景にあるのは娯楽の多様化だ。改正法案は、学生でも二十歳以上なら車券を買えるようにするなど裾野拡大を狙うが、衰勢は変わらないだろう。 それでも国や地方自治体がテコ入れに躍起になるのは、「ドル箱」の公営ギャンブルを財政メカニズムにがっちり組み込んできたからだ。純利益は自動的に自治体の一般会計へ吸い上げられ、累計で数百億円の繰り入れを得た自治体もある。だが、いまや、財政難にあえぐ自治体にとって赤字構造の公営ギャンブルは、財源どころか逆に税金で赤字を補填しなければならない重荷と化している。 かといって、廃止も容易ではない。従事員(券売など単純な労務に“臨時的”に雇用されたアルバイトだが、一般職の地方公務員として扱われ退職金もある)や選手への巨額の補償金などに百億円以上かかるケースもあるとされる。

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