「脱悪魔化」した仏極右「国民戦線」の台頭とジレンマ

渡邊啓貴
執筆者:渡邊啓貴 2015年4月6日
カテゴリ: 国際 政治
エリア: ヨーロッパ

 3月下旬(3月22日と29日)に行われたフランス県議会選挙第1回投票では、極右政党の国民戦線(FN)が25.2%の史上最高の得票率を獲得した。既成大政党に対抗して2位につけ、大躍進となった。

 事前の予測ではFNが第1党となる世論調査結果もあった。結果的に国民運動連合(旧ドゴール派、サルコジ前大統領が代表の政治勢力UMP)を中心とする保守中道派連合(UMPと、バイルー前大統領候補率いる中道派民主運動MoDem、そしてサルコジに近かったボロー元環境大臣らによる民主独立連合UDI)の29%には及ばず、第1党の地位は逃したが、大統領与党社会党中心の左派連合の21.9%の得票率を大きく上回った。

 

第1回投票では「2大政党の一角」

 その意味は大きかった。FNは今や現状に対する不満勢力を糾合して、社会保障を重視する政党へと転換している。つまりFNは社会党の支持基盤に食い込んでいるのである。したがって、その当面の敵は保守右派勢力であるよりも、社会党・左派政権与党とも考えられている。

 第1回投票に関する限りFNの大勝だった。これが比例代表制であったら、フランス政治の地殻大変動が起こるところであった。マリーヌ・ルペン党首は 第1回投票の結果を受けて、「FNは単独では第1党の政党である」「FNと右派・保守中道派の2大政党制が誕生した」と意気軒昂に語った。この「勝利」は「2017年大統領選挙の布石」を意味した。

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執筆者プロフィール
渡邊啓貴
渡邊啓貴 東京外国語大学大学院総合国際学研究院教授。1954年生れ。パリ第一大学大学院博士課程修了、パリ高等研究大学院・リヨン高等師範大学校客員教授、シグール研究センター(ジョージ・ワシントン大学)客員研究員、在仏日本大使館広報文化担当公使(2008-10)を経て現在に至る。著書に『ミッテラン時代のフランス』(芦書房)、『フランス現代史』(中公新書)、『ポスト帝国』(駿河台出版社)、『米欧同盟の協調と対立』『ヨーロッパ国際関係史』(ともに有斐閣)『シャルル・ドゴ-ル』(慶應義塾大学出版会)『フランス文化外交戦略に学ぶ』(大修館書店)『現代フランス 「栄光の時代」の終焉 欧州への活路』(岩波書店)など。
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