サルコジ新大統領の「考え方」の本質

渡邊啓貴
執筆者:渡邊啓貴 2007年6月号
カテゴリ: 国際
エリア: ヨーロッパ

フランスは「自由主義」を選んだ。だが「手厚い保障」に慣れてきた国民は本当に意識を転換できるのか。新大統領の手腕が問われる。「私はすべてのフランス人の大統領です」 大統領選の決選投票が行なわれた五月六日の夜、ニコラ・サルコジは、噛みしめるように言った。五十二歳という若き新大統領の勝利宣言だった。 昨年十一月、フランス社会党がセゴレーヌ・ロワイヤルを初の女性大統領の候補に選出して始まった「政治の祭典」は、本命といわれていた保守派のサルコジ民衆運動連合(UMP)候補の勝利で幕を閉じた。決選投票の結果は、サルコジ五三%に対して、ロワイヤル四七%。国民のメンタリティーのせいか、決選は僅差となるのが通例だが、今回はサルコジの大勝だった。投票翌日の保守系フィガロ紙一面トップの見出しは「明らかな勝利」。圧勝といわれた一九六五年のシャルル・ドゴールが五五%、フランソワ・ミッテランが再選された八八年も五四%で、サルコジの支持率はそれらと比べても遜色ない。 勝因は、フランス社会の「構造改革」への意気込みといえるだろう。サルコジはそのための意識改革を強く訴え、「もっと働いて、もっと稼いでください」というスローガンを繰り返した。これはシンプルだが、本質を突いた表現だった。自由競争原理によって、経済と社会にダイナミズムを与える。そのメッセージが国民の支持を集めた。

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執筆者プロフィール
渡邊啓貴
渡邊啓貴 東京外国語大学大学院総合国際学研究院教授。1954年生れ。パリ第一大学大学院博士課程修了、パリ高等研究大学院・リヨン高等師範大学校客員教授、シグール研究センター(ジョージ・ワシントン大学)客員研究員、在仏日本大使館広報文化担当公使(2008-10)を経て現在に至る。著書に『ミッテラン時代のフランス』(芦書房)、『フランス現代史』(中公新書)、『ポスト帝国』(駿河台出版社)、『米欧同盟の協調と対立』『ヨーロッパ国際関係史』(ともに有斐閣)『シャルル・ドゴ-ル』(慶應義塾大学出版会)『フランス文化外交戦略に学ぶ』(大修館書店)『現代フランス 「栄光の時代」の終焉 欧州への活路』(岩波書店)など。
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