[ワシントン発]去年の晩秋、十七歳の息子トムと私はバージニア工科大学のキャンパスにいた。トムがこの大学に進学を考えていたからだ。ワシントン郊外の自宅から車で四時間。自前の空港まで擁するキャンパスは、圧倒的なまでに広大だった。見学に訪れる高校生を収容する巨大な講堂を探し当てるまでに四十五分もかかったことを憶えている。 以前からバージニア工科大の強豪フットボールチーム「ホーキーズ」のファンだった息子は、すぐに魅了された。だが私は、二万六千人もの学生の中に彼が埋没する懸念を払拭することができなかった。
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