インテリジェンス・ナウ
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日本をやたらと責めるけれど米国「対中」防諜のお粗末さ

春名幹男
執筆者:春名幹男 2007年7月号
カテゴリ: 国際 外交・安全保障
エリア: 北米 日本

 四月末、ワシントンで開かれた日米防衛首脳会談などで久間章生防衛相は平謝りだったようだ。 ブッシュ米大統領の対イラク開戦は「判断が間違っていた」などと、率直すぎる「失言」を繰り返した防衛相。海上自衛隊の二等海曹(三三)によるイージス艦情報漏れ事件で、ゲーツ米国防長官らの怒りを買った。 結局、日米は「軍事情報に関する一般的保全協定」(GSOMIA)で合意し、その場をしのいだが、この事件をめぐる日本側の対応はどこかおかしい。 三月に発覚したイージス艦情報漏れ事件は実は、重大な事実がまだ確認されていない。 第一に、どんな内容の情報が漏れたのか。第二に、その情報は中国に流れたのか。 イージス艦は高性能レーダーと大型コンピューターを組み合わせた高度な防空能力を持つ。敵ミサイルや戦闘機を瞬時に探知・識別し、十以上の目標を同時に撃墜できる。 米海軍の最高レベルの軍事機密であるイージス艦の頭脳部分は「ブラックボックス」に格納されており、同盟国にも開示していない。 一部メディアは、「イージスシステムの中枢情報」が漏れたと伝えているが、明らかに誇張だ。「警察の意図的リーク」と指摘する防衛省関係者もいる。問題の二曹が持ち出していたのは、「隊員に説明する資料」だといわれる。その程度の資料に、一体どれほどのレベルの秘密が盛り込まれていたのか、疑問が残る。

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執筆者プロフィール
春名幹男
春名幹男 1946年京都市生れ。大阪外国語大学(現大阪大学)ドイツ語学科卒業。共同通信社に入社し、大阪社会部、本社外信部、ニューヨーク支局、ワシントン支局を経て93年ワシントン支局長。2004年特別編集委員。07年退社。名古屋大学大学院教授を経て、現在、早稲田大学客員教授。95年ボーン・上田記念国際記者賞、04年日本記者クラブ賞受賞。著書に『核地政学入門』(日刊工業新聞社)、『ヒバクシャ・イン・USA』(岩波新書)、『スクリュー音が消えた』(新潮社)、『秘密のファイル』(新潮文庫)、『スパイはなんでも知っている』(新潮社)などがある。
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