【ブックハンティング】「自販機」の進化を追求した名もなき男たちの物語

吉崎達彦
執筆者:吉崎達彦 2007年7月号
カテゴリ: 書評 経済・ビジネス

 近頃はとんとご無沙汰しているが、暑い日の東京ディズニーランドでほとほと困ったことがある。周知の通り、ジュース一本たりといえども、笑顔抜きでは売らないというのが、かの「夢と魔法の王国」の流儀である。だが、ジュース売り場には長蛇の列が出来ている。ああ、なんでここには自動販売機がないんだろう。喉の渇きを覚えながら、ディズニーの国際標準を恨めしく感じたものである。 そこで気付いたのだが、日本以外では自販機はさほど信用されていないのだ。まず治安の悪い国では使えない。機械が信用されない国でもダメ。モノを定価で買う習慣がない、あるいは消費者が実物を手に取ってみないと納得しないという国でも普及しない。日本はかなりのレアケースなのだ。 日本における自販機の台数は全国で五百五十万台。それらを通して売られる飲み物、煙草、切符などの総販売額は年間七兆円に達する。これはコンビニの総売上に匹敵し、デパートに肉薄する金額であるから、流通業に占める地位は相当なものだ。 とはいえ、その存在はあまり意識されることがない。例えば自販機のメーカーで最大手はどこか、と尋ねたところで、知っている人はきわめて限られていることだろう。

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執筆者プロフィール
吉崎達彦
吉崎達彦 双日総合研究所チーフエコノミスト。1960年(昭和35年)富山市生まれ。一橋大学社会学部卒業後、1984年日商岩井(現双日)に入社。米国ブルッキングス研究所客員研究員、経済同友会調査役などを経て現職。新聞・経済誌・週刊誌等への執筆の他、「サンデープロジェクト」等TVでも活躍。また、自身のホームページ「溜池通信」では、アメリカを中心に世界の政治経済について鋭く分析したレポートを配信中。著書に『溜池通信 いかにもこれが経済』(日本経済新聞出版社)、『1985年』(新潮新書)など、共著に『ヤバい日本経済』(東洋経済新報社)がある。
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