日本を待ち受ける危機にいまなお罷り通る楽観論

執筆者:渥美由喜 2007年7月号
カテゴリ: 経済政策・社会保障
エリア: 日本

 人口減少への危機感が高まっている。筆者は二年前に放映されたNHKスペシャルで、日本のGDP(国内総生産)は(主として)人口減の影響で二〇三〇年代半ばをピークに縮小していくという将来像を示した。 筆者とともに番組に出演していた堺屋太一氏らはこれを批判し、「日本経済は大丈夫」、「少子化対策を行なう必要はない」といった楽観論を繰り返した。 しかし、視聴者からの声の八割は「根拠もなしに甘い見通しを繰り返されても、説得力がない」、「お年寄りは、いまの若い世代の窮状がまったくわかっていないのではないか」といった内容だったと聞く。各種アンケート結果をみても、国民の少子化への危機感は強まる一方だ。これは、なぜか。 現在の人口規模(一億二八〇〇万人)を一定に保つには、今年からただちに二・〇七を超える出生率に引き上げる必要があるが、無理な話だ。多少、出生率が上がったとしても人口は長期的には減少していく。昨年末に発表された国立社会保障・人口問題研究所の推計では、一〇〇年後の日本の人口は四〇〇〇万前後となる。何と現在の三分の一程度になってしまうのだ。「親の数が減っているから、子ども数も減る一方で、その子どもはますます減っていく」という「負の連鎖」に陥った現状は、蟻地獄に落ちこんだ蟻に似ている。最初は大丈夫だろうと思っていても、時間が経てば経つほど、足元は不安定になり、脱出は難しくなっていく。

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