新トップを迎える限界だらけの証券取引等監視委員会

執筆者:金城大輔 2007年7月号
エリア: 日本

 インサイダー取引、風説の流布、有価証券報告書の虚偽記載――。証券取引等監視委員会は、資本市場のルールである証券取引法への違反行為を監視する“市場の番人”だ。 七月、そのトップが六年ぶりに交代する見込みだ。検察出身の高橋武生委員長(七一)の後任と目されているのは、佐渡賢一福岡高検検事長(六〇)である。東京地検特捜部時代にリクルート事件で藤波孝生元官房長官の取調べを担当。鈴木宗男衆議院議員の林業がらみの斡旋収賄事件(懲役二年の実刑判決を受け控訴中)では捜査と公判を指揮した。原稿執筆時点では政府が与党と最終調整中だが、佐渡氏で決まれば検察OBとして三人目のトップとなる。 逮捕権をもたない監視委にとって、検察との合同捜査は証拠の湮滅などを防ぐために欠かせない。佐渡氏の起用は、検察と監視委のパイプ強化を意味する。 監視委の監視方法は投網漁法に似ている。毎日の株価の値動きと出来高をチェック。有価証券報告書もにらみつつ“疑わしい動き”は証券会社に問い合わせ、証拠を集めて分析する。内部告発も重要だ。それでもインサイダー取引の疑いは年間二万件もある中で、事件化されるのは氷山の一角だ。証券の世界は「秒進分歩」と言われるほど金融商品や売買手法がめまぐるしく変わる。監視委が新たな環境の中で市場を欺く犯罪を機動的に摘発していくためには、課題が山積している。

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