80時間世界一周
80時間世界一周(35)

シンガポールの野望 マラッカ海峡を「カリブ海」に

竹田いさみ
執筆者:竹田いさみ 2007年7月号
カテゴリ: 国際

 ウォルト・ディズニー映画のシリーズ三作目「パイレーツ・オブ・カリビアン――ワールド・エンド」が、世界中で封切られた。アジア・プレミアイベントに参加するため来日したジョニー・デップ、オーランド・ブルームなどは、ファンにはすでにお馴染みの顔だ。こうした常連スターと並んで、今回の三作目で大きな役どころを与えられているのが、チョウ・ユンファという香港出身の男優である。シンガポールを拠点とする南シナ海の海賊王「キャプテン・サオ・フェン」として登場する。世界を席捲する中国と中国人がついにディズニー映画の脚本にも大きな影響を与えるようになったのを、「時代の潮流」と認める人も多いことだろう。 シンガポールの日刊紙『ストレーツ・タイムズ』によれば、このアジアの海賊王が登場したことに諸手を挙げて喜んでいるのが、都市国家シンガポールだという。淡路島サイズの島国に約四百三十万人が暮らすシンガポールは、高い経済成長率を維持するために、次々と新しい国家戦略を打ち出していかなければならない。リー・シェンロン首相の年間所得は二億円を超え、英邁な政治家と公務員の給与水準は世界でもトップクラスだ。素晴らしい国家戦略を描くのは政府と官僚機構であり、そのためには高賃金体系を採用して優秀な人材を集める必要がある、とのロジックが見え隠れする。

この記事は役に立ちましたか?
フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
この記事をSNSにシェアする
執筆者プロフィール
竹田いさみ
竹田いさみ 獨協大学外国語学部教授。1952年生れ。上智大学大学院国際関係論専攻修了。シドニー大学・ロンドン大学留学。Ph.D.(国際政治史)取得。著書に『移民・難民・援助の政治学』(勁草書房、アジア・太平洋賞受賞)、『物語 オーストラリアの歴史』(中公新書)、『国際テロネットワーク』(講談社現代新書)、『世界史をつくった海賊』(ちくま新書)、『世界を動かす海賊』(ちくま新書)など。
comment:0
icon
  • 記事の閲覧、コメントの投稿には、会員登録が必要になります。
フォーサイトのお申し込み
価値あるバックナンバー
注目記事ランキング
  • 24時間
  • 1週間
  • f
  • 新着
  • 高評価
  • コメント数順