【インタビュー】李登輝(台湾前総統) 現政権の「民主独裁」は誤りだ

野嶋剛
執筆者:野嶋剛 2007年8月号
カテゴリ: 国際
エリア: 中国・台湾

――李登輝さんはかねてから「中道化」が選挙のキーポイントだと指摘している。李 政治は対立するだけでなく、真ん中の中産階級を固めなくてはいけない。社会の中心は中産階級。ところがいまの台湾政治は両極端になっている。民進党は独立すべきだと言い、国民党は中国と統一だと言う。民進党も国民党も党利ばかりを考え、人民のことは頭に入っていない。 台湾の中産階級には統一でも独立でもない考えの人たちが増えている。いま、もし私が総統だったら、民進党と国民党の連立政府を作って中道路線を歩むだろう。そうすれば台湾の政治は全然変わるが、だれもそれをやらない。――民進党と国民党、どちらが今後の台湾を担うべきだと考えますか。李 この七年間、国民党は野党でありながら、野党がやるべきことを一つもしていない。民進党は台湾の主体性を中心にしている。やはり彼らが中心になっていく方が本物だ。ただ、民進党もいまの指導者が代わらないといけない。――常識的には前任者は指導者を非難しないが、李登輝さんの陳水扁総統批判は昨年ごろから強くなっています。李 (陳総統は)ひどいから。私は一生懸命、民主化を進めたが、彼の下で民主化は停滞しただけでなく、逆行した。いまは民主独裁。台湾の憲法をみたら、総統はなんでもかんでも命令してはいけないと書いてあるが、彼は一人で決めてしまう。批判というか、辞めた総統が言うのはよくないが、陳総統は一人で勝手にそういうことをするなと言いたい。

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執筆者プロフィール
野嶋剛
野嶋剛 1968年生れ。ジャーナリスト。上智大学新聞学科卒。大学在学中に香港中文大学に留学。92年朝日新聞社入社後、佐賀支局、中国・アモイ大学留学、西部社会部を経て、シンガポール支局長や台北支局長として中国や台湾、アジア関連の報道に携わる。2016年4月からフリーに。著書に「イラク戦争従軍記」(朝日新聞社)、「ふたつの故宮博物院」(新潮選書)、「謎の名画・清明上河図」(勉誠出版)、「銀輪の巨人ジャイアント」(東洋経済新報社)、「ラスト・バタリオン 蒋介石と日本軍人たち」(講談社)、「認識・TAIWAN・電影 映画で知る台湾」(明石書店)、訳書に「チャイニーズ・ライフ」(明石書店)。
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