電力・ガス「大再編時代」が始まる

執筆者:五十嵐卓 2007年8月号

世界で進むユーティリティー産業の再編。日本もエネルギー安全保障まで視野に入れ、地域・業種を越えた戦略的再編を迫られている。 多くの歴史的な転換点には、きっかけとなる出来事がある。意図的に起こされたものもあれば、まったくの偶然でありながら後からみれば必然を感じざるを得ない出来事もある。北陸電力の志賀原子力発電所(石川県)をめぐる昨年からのふたつの事件は、意図せざる出来事だが、一九五一年にできあがった九電力体制(沖縄電力を除く)が、半世紀余を経て流動化を始める引き金となるかもしれない。 志賀原発は現在、1、2号機ともに停止している。まず昨年七月に2号機で日立製作所製の低圧タービンの動翼の破損が発見され、補修のために停止。今年三月には、1号機で一九九九年に原子炉の制御棒脱落による臨界事故が起きていたことが発覚、原子力安全・保安院に停止を命じられた。北陸電力の総発電能力の四割を占める志賀原発が完全停止しているわけだ。 日本の電力会社にとって供給上の最大の不安は冷房の使用が急増する夏場のピーク需要にある。東京電力、関西電力など電力大手は二〇〇一年夏以降、「最大電力」と呼ばれる瞬間的なピーク需要は記録を更新していない。冷夏や景気低迷、省エネ型家電・設備の普及が影響しているが、今年の夏は猛暑予想に加え、景気拡大による民間需要、産業用大口需要の伸びが高く、記録更新までは行かずとも、かなり高い需要が見込まれている。電力各社は電源の手当てに忙しいが、なかでも主力電源の止まった北陸電力は、関電、中部電力など他の電力会社からの融通を受けるため、必死の交渉を続けている。

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