ファンドを毛嫌いする日本の自縄自縛

執筆者:野間歩 2007年8月号
カテゴリ: 経済・ビジネス 金融

たしかに嫌なファンドも多い。だが、株主総会シーズンに展開されたのは、常軌を逸した買収防衛の備え。これでは日本企業は強くならない。「外資の買収ファンドによる初の大型案件との期待が大きかっただけに、土壇場での交渉決裂に関係者はみな落胆を隠せなかった」。松下電器産業が連結子会社で中堅AV(音響・映像)機器メーカーの日本ビクターを巡り、米買収ファンドのTPGと進めていた売却交渉。TPGが三月に優先交渉権を得て協議を続けてきたが、六月に入って交渉の打ち切りが表面化した。 売却後のビクターに対する松下の金融支援について両者の溝が埋まらなかったことが最大の要因だったという。だが、問題はそれだけではなかった。ある関係者は「ビクター経営陣の強烈な抵抗で、そもそもTPGがまともに資産査定することさえできなかった」と証言する。いかなるM&A(企業の合併・買収)であっても、適正な買収価格を算定するためには、買収先企業のバランスシートや事業環境を詳細に調べるデューデリジェンス(資産査定)が欠かせない。ところがビクター側はTPGによる資料提供などの要請をことごとく拒否。これが「松下とTPGとの交渉が難航する一因になったのは間違いない」というのだ。

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