伊藤園が“第一号”を目指す「種類株」上場の効用

2007年8月号
カテゴリ: 経済・ビジネス

「お~いお茶」の伊藤園が議決権のない優先株を発行できるように定款を変更する。東京証券取引所が「種類株」の上場制度を設ける動きに合わせた定款変更で、七月二十六日の株主総会で承認されれば、無議決権種類株上場の第一号の候補になる。もっとも、水面下では大手証券同士の先陣争いもあった。日興コーディアルグループのある幹部がいう。「欧米では株主総会での議決権を持たない代わりに配当が多い優先株や子会社の業績に連動する子会社連動株(トラッキング・ストック)などの種類株が上場されています。グローバル化を目指す東証は種類株を上場できるようにするために有識者による懇談会を開き、検討を進めています。当社は来年には種類株上場が可能になると踏んで、大手電機メーカーの子会社に種類株の発行は資金調達の多様化ばかりか、親会社の株主比率が下がらないため敵対的買収への防衛策にもなる、と勧めていたんです。ところが、当社の動きを察知した野村証券が伊藤園に話を持ち込んだようなのです。わが社の方が一歩進んでいたのに“第一号”の油揚げをさらわれてしまった……」 この電機メーカー以外にも、伊藤園より先に定款変更を計画したところがある。自動車用品販売大手のオートバックスセブンだ。同社では「M&A(企業の合併と買収)のチャンスが巡ってきたとき、機動的に資金を調達するために優先株を発行できるよう定款変更を計画しました。が、株主総会で三分の二以上の賛成を得られないことが分かったため、六月の株主総会直前に議案を取り下げました」(広報部)。配当原資が減り、株価が下がると大株主が反対したことで、あえなく“第一号”の座を諦めたようなのである。

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