地方から始まる「テレビ局淘汰」の時代

執筆者:神谷二郎 2007年8月号

「地デジ」への完全移行まであと四年。多額の設備投資を迫られる地方局は青息吐息だが、たとえそれを乗り越えても――。 二〇一一年七月二十四日に予定される地上波テレビの完全デジタル化まで四年。全国普及まで五十年近くかかったアナログ放送を八年足らずで全面転換しようという“荒業”は折り返し地点を越えている。 だが、ゴールはまるで見えない。 まず、期限内にデジタル放送対応テレビへの切り替えが終わるかどうか。今年三月末時点で対応機を持っていた世帯は全体の三割未満しかない。ぎりぎりまで買い換えを控える家庭も多いだろう。 それ以上に深刻なのが、テレビ局の“体力”だ。新たな放送塔の建設、高画質化や複数チャンネル化、サイマル放送(デジタル放送への移行が完了するまでのアナログとデジタルの二波同時放送)、著作権料支払いの増加――。電波を飛ばす設備産業であるテレビ局にとって地デジ対策は財源問題にほかならない。 デジタル化にともなう民放の投資額(見込み)は平均で一社六十二億円。脆弱な収入基盤しか持たず“体力”のない地方局にとっては年間売上高に匹敵する負担となる。国土の二二%を占め山間・離島を抱える北海道のテレビ局なら必要額は二倍だ。国の一県四局政策で誕生し、免許行政に守られ惰眠をむさぼってきた地方局が突然消滅する事態も現実味を帯びつつある。

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