七年を経て実を結んだ「ストックのビジネス」に思う

執筆者:梅田望夫 2007年9月号
カテゴリ: IT・メディア

 二〇〇〇年八月にパシフィカファンドを共同創設した。「もう七年か」と思い始めた矢先の七月九日、嬉しい大ニュースが飛び込んできた。ファンドの投資先・ポスティーニ(Postini)社をグーグルが大きな資金を投じて買収したのである。「インターネット検索最大手の米グーグルは九日、電子メールなどのセキュリティー対策サービスを展開するポスティーニ(カリフォルニア州)を六億二千五百万ドル(約七百七十億円)で買収すると発表した」(日本経済新聞七月十日夕刊) 私たちは二〇〇一年十月十六日、同時多発テロから一カ月経過したばかりの「どん底」のとき、シリコンバレー再生を祈るような気持ちも込めて、ポスティーニに投資したのだった。当時のポスティーニは年間売上高も五十万ドル足らず。もちろんまだ黒字は出ていなかった。 しかし私たちは、創業者シンヤ・アカミネ(日系アメリカ人、ルーツは沖縄)の才能とエネルギーに賭けて同社への投資を決心した。「どん底のときにこそ仕込むもの」と頭ではわかっていても、いざ自分の問題として対処するとなると、その難しさを痛感したのをよく覚えている。それだけにこのたびのニュースには感慨もひとしおなのだが、一つだけ残念だったのは、シンヤが既に同社を去っており、この成功の歓喜の渦の中にいないことだった。

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執筆者プロフィール
梅田望夫 1960年東京都生れ。94年渡米、97年コンサルティング会社ミューズ・アソシエイツを起業。著書に『ウェブ進化論』(ちくま新書)、『ウェブ時代をゆく』(同)、『ウェブ時代 5つの定理』(文藝春秋)、『ウェブ人間論』(共著、新潮新書)など。メジャーリーグの野球、そして将棋の熱烈なファン。
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