日本の重電メーカー「技術移転」の智略

執筆者:山田明彦 2007年9月号
カテゴリ: 国際 経済・ビジネス
エリア: 中国・台湾

「当社と同規模(約六千二百万キロワット)の電源が毎年誕生している」と東京電力幹部をして言わしめるほど、中国の電力需要は急増している。日本の重電メーカーが成長するために、中国市場は必要不可欠だ。ただ最近、中国との関わり方に変化が生じている。 自動車や鉄道インフラと同様に発電設備の「国産化」を打ち出した中国が、ガスタービン(GT)などの完成品を輸入しにくい制度を導入したからだ。重電関係者は「完成品を日本から輸出するためには中国政府の許可が必要。ものによっては高額な関税を掛けられる」と話す。入札条件に「技術移転」が明記されることもあるという。中国の民族系企業に技術移転しない限り、中国市場に参入する道は閉ざされるのか。 だが、「政策あれば対策あり」とは中国に限った諺ではない。中国の国産化政策にうまく乗っかってビジネスを展開する日本企業もあるのだ。 三菱電機は今年七月、中国で原子力発電所六基分のプラント制御装置を受注した。プラント全体の運転を司る装置で、入札条項には技術移転も含まれていた。同社が供与するのは、制御装置を収める鉄製容器の製造技術。技術移転といっても“容器”にとどめる。安全系統などプラント全体を制御するための制御盤といった、知見がふんだんに盛り込まれた“中核部品”は三菱製を輸出。それを中国製の容器に収めて設置するのだ。

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