混迷の空港(下)清算を迫られる「三つの過ち」

執筆者:吉野源太郎 2007年9月号
エリア: 日本

――国内地方空港の“惨状”をもたらしたもの――「JR東日本、東京―青森間の新幹線走行時間を三時間に」 最近、明らかになったこの計画は、航空関係者にその先に待ち受ける“地獄”を想起させた。民営化以来、大規模な投資をせずに長期債務返済に専念するJR各社が唯一、積極的な投資をしてきたのが、新幹線高速化技術。狙い打ちにする国内航空路線はどれも航空企業の収益源だ。 東北新幹線の青森延伸は二〇一〇年度末の予定。現在の八戸までの最高速度、時速二七五キロでは青森まで三時間半程度かかるが、なるべく早く三二〇キロに速めて所要時間三時間を実現しようという計画だ。 東京―青森間の航空路線は現在、日本航空(JAL)が定員三百人弱の中型機を一日六便飛ばしている。JALによると現在の利用率は六三・六%。「全国平均六二%を上回っているが、新幹線が開通すれば機材を百数十人乗りに小型化し、便数もぎりぎりまで絞り込むしかない」。 航空は新幹線との競争で、後退に後退を重ねてきた。一九六四年、東海道新幹線が開通してからしばらくの間は東京から大阪までは新幹線、その先は航空という棲み分けが続いたが、山陽新幹線、東北・上越新幹線と展開する過程でJRは、高速化、増便、サービス向上と全面攻勢に出た。棲み分けは崩れた。

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執筆者プロフィール
吉野源太郎 ジャーナリスト、日本経済研究センター客員研究員。1943年生れ。東京大学文学部卒。67年日本経済新聞社入社。日経ビジネス副編集長、日経流通新聞編集長、編集局次長などを経て95年より論説委員。2006年3月より現職。デフレ経済の到来や道路公団改革の不充分さなどを的確に予言・指摘してきた。『西武事件』(日本経済新聞社)など著書多数。
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