さらに「公共」「公正」から遠ざかる中国社会

執筆者:藤田洋毅 2007年10月号
カテゴリ: 国際
エリア: 中国・台湾

甘い汁を吸う党や政府の幹部たち。学生もどこに就職すればお裾分けにあずかれるか知っている。それでも社会主義だという大いなる矛盾。 中国・東北部の某市。ある区政府に友人を訪ねたら、庁舎裏の駐車場に真新しい高級乗用車が二十台ほどズラリと並んでいた。その他の三十台ほどのやや古い乗用車と違い、一目で新車と分かる。迎えに出てきた友人に「景気がいいですね。一挙に更新したのですか」と聞くと、静かに首を横に振る。「新車の数だけ、出世した幹部がいるのです」。 キョトンとしていると、友人は解説した。十月十五日開幕の第十七回共産党大会を機に胡錦濤政権が二期目を迎えるのを前に、今年前半は中国全土で党・政府幹部の交代が相次いだ。新任の処級(課長クラス)幹部が初めて公用車をもつのに加え、処級から地庁級(局長クラス)に出世した幹部も専用車をランクアップする。だから、それぞれに「新たな専用車を公費で購入する」のだという。「前任者の車を引き継がないのですか」と問うと、「前の人だって車に乗るでしょ」と一言。第一線を退いても、局長クラスの幹部になれば関連団体や政府系企業に天下りするから、「専用車はそのままもっていく。ごく一部は完全引退するが、その後任は中古車を使わず払い下げる。出世したのだから、ピカピカでなければならないのです。専用車は富と権力の証ですから」。人民の税金で賄う「公用車」の実態は、幹部個人の「私用車」なのである。

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