マレーシアで頻発 ヒンズー教寺院破壊の背景

2007年10月号
カテゴリ: 国際

 マレーシアでこの一年半弱の間に、七十九ものヒンズー教寺院が破壊されたことが、ヒンズー教系NGO(非政府組織)の調べでわかった。一週間に一つのペースで寺院が破壊されているわけだ。 五十のヒンズー教系NGOの連合体であるHINDRAF(ヒンズー権利行動軍)によると、マレーシア全土で昨年二月から今年六月までの十六カ月間に、七十九のヒンズー教寺院が、政府からの一方的な通告の後、焼き討ちにあったり、神体が持ち出されて捨てられるなどの破壊行為にあったという。 HINDRAFは、こうした行為は「抑圧され、マレーシアでも最も恵まれない階層であるヒンズー教徒に対する蛮行」であるとして、アブドゥラ首相に宛てて、政府と地方政府がこうした不法行為を行なわないよう申し入れた。アジア人権委員会(AHRC)もこれを問題視し、マレーシア独立前からの歴史遺産でもあるヒンズー教寺院の破壊を非難している。 インド系のヒンズー教徒は、マレーシア人口二千五百万人の八%を占める。その多くが生ゴムの採取などの単純労働に従事しており、人口の六六%を占めるマレー系や二六%を占める中国系に比べて経済的・政治的な力が圧倒的に弱い。 なぜこうした破壊行為が続くのか、マレーシア政府は公式の説明はしないが、背後には国内のイスラム勢力に対する「配慮」があると見られる。マレーシアは多民族・多宗教国家として知られてきたが、ヒンズー教徒はマレーシア社会のイスラム化が進んでいると警戒する。

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