刑事被告人に迎合するメディアの変質

執筆者:喜文康隆 2007年10月号

「存在そのものが世の中の規範や規制から外れてしまっている人間もいるわけだ。僕は、ものを書く人間は多かれ少なかれ規範から逸脱した衝動をかかえ込んだ、いわゆる外道だと思っているところがある」(見城徹『編集者という病い』)     * いまベストセラー街道を驀進中の本がある。『反転 闇社会の守護神と呼ばれて』という語りおろしスタイルの自叙伝である。見城徹が率いる幻冬舎が発行元で、いわゆる「見城本」の一つといえる。 著者の名は田中森一。本のオビには「伝説の特捜エース検事は、なぜ『裏』世界の弁護人に転向したのか」とある。 田中は検事時代には、撚糸工連事件、平和相互銀行不正融資事件、三菱重工CB事件などバブルの時代に起こった数々の経済事件を手がけ、一九八七年に弁護士に転ずるや、山口組五代目組長の渡辺芳則、山口組幹部の宅見勝、裏金融の帝王と呼ばれる「アイチ」の森下安道、「イトマン」元常務の伊藤寿永光、「コスモポリタン」総帥の池田保次、さらには許永中、小谷光浩や加藤あきらなど、バブルの時代のありとあらゆる裏人脈と深いつながりを持った。 そして、二〇〇〇年に石橋産業事件をめぐる詐欺容疑で逮捕され、一審、二審で有罪の実刑判決を受け、最高裁に上告中の身である。

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