銅製錬「世界一の六八%」を実現した佐賀関――ものづくりの生命線「非鉄金属」を追う 2

執筆者:船木春仁 2007年10月号
カテゴリ: 経済・ビジネス

 豊後水道に臨む佐賀関(大分市)といえば「関サバ・関アジ」で知られる。しかし、この町にはもう一つ別の顔がある。世界最大クラスの粗銅生産量を誇る日鉱製錬佐賀関製錬所を擁す「銅製錬の町」という顔だ。 佐賀関漁港と製錬所は、半島がくびれている部分を挟んでちょうど反対側にある。距離にすれば一キロもない。しかし、険しい坂が両地を隔て、どちらからも相手の姿を垣間見ることはできない。関サバの出荷準備に追われる漁村の風景を背に街を抜けると、突然、巨大な製錬所が目前に迫ってくる。北側と南側にまったく異なる顔がある。 日鉱製錬は、日鉱金属と三井金属が銅の原料調達や生産、販売事業を統合した「パンパシフィック・カッパー(PPC)」の子会社。前身は、一九一六年(大正五年)、「明治の鉱山王」で日立グループの創業者である久原房之助によって開設された久原鉱業佐賀関製錬所だ。 関東の久原鉱業が、近くに鉱山もない大分の半島に製錬所を設けた理由は風向きにあったという。豊後水道一帯は、夏は南東、冬は北西の風が吹き、周辺の町に亜硫酸ガスを含んだ煙が流れない。 明治のもう一人の「鉱山王」古河市兵衛の足尾銅山で、いわゆる「足尾鉱毒事件」が起きたのは一八九〇年代のことだから、久原は公害の発生を恐れ、この地に白羽の矢を立てたに違いない。

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