先延ばしされた「集団的自衛権」議論の行方

2007年10月号
カテゴリ: 外交・安全保障 政治
エリア: 日本

「安保法制懇」の議論は“お蔵入り”の可能性も出てきたが、国際情勢が日本に直視を迫る。「(在任中に)憲法改正を実現するのは難しいかもしれないが、集団的自衛権の問題だけはなんとしてもやり遂げたい」 今からちょうど一年前、自らが選ばれることになる自民党総裁選を前に、安倍晋三官房長官(当時)は周囲にそう漏らしていた。だが、「戦後レジームからの脱却」を旗印に掲げて就任した安倍首相は、党首として初めて臨んだ参議院選挙で惨敗。参議院の過半数を野党に握られたことで「安倍カラー」の強い政策に急ブレーキがかかり、首相が力をこめた安全保障政策の転換は難しくなった。集団的自衛権行使の是認と憲法改正問題。特に前者が「お蔵入り」(自民党幹部)になるのは濃厚とみられるが、米側の期待を高めてきただけに、日米関係への影響も避けられない。     *「日本はミサイル防衛(MD)で極めて重要なパートナーであり、相互に防衛する関係を構築したい。日本は米領土を狙った弾道ミサイルを撃ち落とせるようにすべきだ」 四月三十日、ワシントン郊外で開かれた日米防衛首脳会談。ゲイツ国防長官は久間章生防衛相(当時)にそう切り出し、日本政府が内閣法制局の憲法解釈に基づいて封じている集団的自衛権行使の是認を迫った。久間氏が、日本が現在計画しているMDシステムの技術では米領土への弾道ミサイルを迎撃できないと説明し、米側に一層の技術協力を求めたところ、同席したシーファー駐日米国大使は天井を仰いでみせ、「米国への弾道ミサイルを迎撃できなければ、日米同盟は変わってしまう」と強い表現で牽制した――。

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