数で穴埋めできない「警察官の二〇〇七年問題」

執筆者:半澤尚久 2007年10月号
カテゴリ: 社会
エリア: 日本

「質」の低下に拍車をかけるベテランの大挙退職。これまでにない知恵を絞って、捜査や治安維持の技能を引き継ぎ高めていかなければ……。 この七月、東京・桜田門の警視庁本部一階を百八十枚のポスターが埋め尽くした。壁一面に貼られていたのは、九月実施の今年度第二回警察官採用試験の募集要項だ。「本来は部外の人に見てもらうべきものだが、現職の親族や知り合いは辞退者が少なく、手堅い」(警視庁幹部)。身内の伝手をたどる警視庁初のポスター作戦は、「警察官の二〇〇七年問題」に向き合う採用担当者の焦燥感を象徴している。 全国の警察官は約二十六万人。今年度の退職者は約一万二千人とピークを迎え、今後三年間で約三万三千人、十年間で約十万四千人が去る。社会の変化に「定員増」で対応してきた全国の警察にとって、今年度から定年(六十歳)を迎え始めた団塊世代の大量退職は深刻だ。 退職者の抜けた穴は新規採用で補充するため、今後十年間で実に約四割の警察官が入れ替わることになるが、採用には逆風が吹いている。景気回復に伴って民間企業も求人を増やし、労働力の売り手市場が続く中、公務員志向は低い。警視庁の場合、採用試験の倍率のピークは、景気が低迷していた一九九五年度の二十三・八倍。翌年度から下がり始め、昨年度は六・五倍まで落ち込んだ。

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