80時間世界一周
80時間世界一周(38)

「東洋のパリ」とはいったいどこだろう?

竹田いさみ
執筆者:竹田いさみ 2007年10月号
カテゴリ: 国際

「東洋のベニス」とは、つとに知られた中国蘇州の別称だが、最近やたら耳にするのが「東洋のパリ」だ。小さな運河が縦横に走る水郷地帯の蘇州は、十三世紀に訪れたマルコ・ポーロが「東洋のベニス」と称して以来、世界的に認知されるようになった。では「東洋のパリ」とはいかなる場所であろうか。 旧フランス租界の並木道が美しい上海? かつてのフランス植民地として食文化の伝統が息づくベトナムのホーチミン(旧サイゴン)? はたまた、フランスやイタリアのブランド店が所狭しとひしめくシンガポールか。答えはいずれも「ノン」。正解はなんとマレーシアの首都クアラルンプールである。 いったい誰が「東洋のパリ」と名付けたのか、まったく見当がつかない。ひとつだけ確かなことは、中東・湾岸諸国から大勢のアラブ人観光客を誘致するためのキャッチコピーだということだ。中東・湾岸地域に灼熱の太陽が容赦なく照り付ける七月から八月にかけて、夥しい数のアラブ人がクアラルンプールを訪れる。その数は年々増加しており、昨年は約十九万人だったが、今年は三十万人と予想されている。観光省によれば、市内のホテル(約三万室)の稼働率は九八%で、ほぼ連日満室状態。宿泊料金も二―三倍に跳ね上がる。

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執筆者プロフィール
竹田いさみ
竹田いさみ 獨協大学外国語学部教授。1952年生れ。上智大学大学院国際関係論専攻修了。シドニー大学・ロンドン大学留学。Ph.D.(国際政治史)取得。著書に『移民・難民・援助の政治学』(勁草書房、アジア・太平洋賞受賞)、『物語 オーストラリアの歴史』(中公新書)、『国際テロネットワーク』(講談社現代新書)、『世界史をつくった海賊』(ちくま新書)、『世界を動かす海賊』(ちくま新書)など。
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