「九人リスト」握り潰しが明示した「改革後退」

2007年11月号
カテゴリ: 政治 金融
エリア: 日本

三人とも民間人になるはずだった政府系金融三機関の総裁人事。財務次官おんみずからの“工作”で、見事な結末に――。 公務員制度改革を巡る「官邸」対「官僚」の闘いは、ついに官僚側の全面的な勝利で終わった。小泉純一郎内閣時代からの官邸主導を継続し、官僚統治からの脱却を試みた安倍晋三内閣は、無残にも政権放棄に追い込まれた。改革を占う試金石とみられてきた政府系金融機関のトップ人事は財務省が巻き返しに成功。改革への道筋はことごとくかき消されようとしている。官僚たちの高笑いが霞が関から聞こえてくる。 安倍首相が突然の辞任を発表し、後継選びのプロセスが慌しく進んでいた九月中旬。財務省の津田広喜事務次官がひっそりと日本経団連の御手洗冨士夫会長を訪ねた。津田次官の用件はただひとつ。安倍内閣が御手洗氏との間で詰めていた「九人リスト」を反故にして欲しい、というものだった。「九人リスト」とは、九月末の任期切れが目前に迫っていた日本政策投資銀行など政府系の三金融機関の総裁候補リストだ。安倍首相は八月の段階で三機関のトップすべてに民間人を充てるよう指示し、塩崎恭久官房長官らが御手洗氏らと人選を進めていた。三機関のトップは歴代、大蔵省(現財務省)事務次官経験者の指定席だったため、安倍内閣が打ち出した「天下り規制」で後任人事に注目が集まっていた。

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