トルコが目指すイスラムと民主主義の共存
トルコが実践しつつある「世俗的イスラム民主主義」確立への試みを、日米欧は理解し評価すべきだ。 トルコは、麻生太郎元外相が唱えた「自由と繁栄の弧」の構想において、ヨーロッパとアジアを結び、ロシアと中東とカフカースをつなぐ国際関係の要に位置する国である。そのうえ、北大西洋条約機構(NATO)に加盟し、イスラム諸国会議機構(OIC)や黒海経済協力機構(BSEC)といった個性的な国際機関でも中核の役割を果たすことが多い。イスラム世界とキリスト教国中心の欧州連合(EU)の双方に関わりをもち、中央アジアのトルコ系諸国にも影響力がおよぶトルコは、麻生外相の辞職とは関係なく、引き続き日本外交のユーラシア戦略にとって重視すべき国である。二〇〇六年の小泉純一郎首相の訪問だけでなく、〇七年の谷内正太郎外務事務次官によるトルコとインド訪問は、ユーラシア戦略におけるトルコの重要性を物語っている。
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