戦争の危機を高めた「核の番人」の対イラン譲歩

執筆者:会川晴之 2007年11月号
エリア: 中東

「三歩進んで二歩退る」なら交渉術としてありうるが、IAEA事務局長は後退につぐ後退。武力行使の可能性をかえって高めてしまった。[ウィーン発]イラン核問題への対応をめぐり、国際原子力機関(IAEA)と欧米諸国の間に亀裂が走っている。きっかけは、IAEAの事務局が八月二十一日にイランと結んだ「作業計画」だ。両者の交渉が終始イランペースで進んだため、IAEAの主要メンバーである欧米諸国は「イラン寄りで不十分」と批判。矢面に立たされたエルバラダイ事務局長は「二、三カ月以内に前進がある」と“釈明”しながらイランに全面協力を促すが、確証はない。イランの出方次第では、年末以後、戦争を含めた重大局面を迎える可能性もある。

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