[ワシントン発]アメリカのメディアは当初、安倍晋三氏に代わる総理に福田康夫氏が選ばれたというニュースに戸惑った。朝日新聞に倣い、安倍内閣が国家主義的にすぎると批判してきた『ニューヨーク・タイムズ』や『ボストン・グローブ』などのリベラルな新聞は、安倍内閣の支持率が落ちると、問題はその外交姿勢にあったと仄めかした。実際には、閣僚のスキャンダルや年金危機、経済政策を説明する能力の欠如こそが問題だったにもかかわらず。 こうした誤解ゆえに、米メディアは最初、タカ派の安倍内閣の外交路線を修正するために「中国寄りのハト派」である福田氏が選ばれたという解釈をした。

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執筆者プロフィール
マイケル・グリーン(まいけるぐりーん) 1961年生れ。フルブライト留学生として東京大学大学院に留学。国会議員秘書や新聞記者などで5年間の滞日経験をもち、日本語に堪能。ジョンズ・ホプキンズ大学高等国際問題研究大学院(SAIS)より博士号取得。2001年、ホワイトハウスの国家安全保障会議(NSC)入りし、04年から05年まで上級アジア部長。06年初めよりCSIS日本部長とジョージタウン大学教授を兼務している。
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