福田首相が立ち向かうべき五つの課題

執筆者:マイケル・グリーン 2007年11月号
エリア: 北米 日本

[ワシントン発]アメリカのメディアは当初、安倍晋三氏に代わる総理に福田康夫氏が選ばれたというニュースに戸惑った。朝日新聞に倣い、安倍内閣が国家主義的にすぎると批判してきた『ニューヨーク・タイムズ』や『ボストン・グローブ』などのリベラルな新聞は、安倍内閣の支持率が落ちると、問題はその外交姿勢にあったと仄めかした。実際には、閣僚のスキャンダルや年金危機、経済政策を説明する能力の欠如こそが問題だったにもかかわらず。 こうした誤解ゆえに、米メディアは最初、タカ派の安倍内閣の外交路線を修正するために「中国寄りのハト派」である福田氏が選ばれたという解釈をした。 だがやがて、福田内閣は新たな方向を志向するのではなく、小泉政権以来の構造改革路線と緊密な米日同盟を継承するものだという理解が米メディアにも浸透した。そもそもブッシュ政権のベテランたちは、小泉政権の官房長官として9.11米同時多発テロの直後に日本の官僚組織を動かして強固で前向きな対テロ戦争支援策をまとめあげた人物として福田氏を認識している。 とはいえ、ブッシュ政権がいくら福田氏の安定した手腕を信頼していても、予想だにしなかった安倍政権の突然の崩壊には驚き、福田内閣もまた短命に終わるのではないかとの不安に駆られている。ワシントンにとって悪夢のシナリオは、かつてのように日本の政権がころころと替わり、そのために国際社会で政治的な役割を十分に果たせなくなることだ(いわゆる「イタリア・シナリオ」である)。

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執筆者プロフィール
マイケル・グリーン 1961年生れ。フルブライト留学生として東京大学大学院に留学。国会議員秘書や新聞記者などで5年間の滞日経験をもち、日本語に堪能。ジョンズ・ホプキンズ大学高等国際問題研究大学院(SAIS)より博士号取得。2001年、ホワイトハウスの国家安全保障会議(NSC)入りし、04年から05年まで上級アジア部長。06年初めよりCSIS日本部長とジョージタウン大学教授を兼務している。
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