年金保険料「流用禁止」法案の扱いを誤る自民党

執筆者:山田利三 2007年11月号
カテゴリ: 社会
エリア: 日本

「参院選で民主党が第一党になった中、直近の民意を反映した政策を実現していくことで、自民党との政策の違いがクリアに国民に分かるようになる」 自民党総裁選が告示された九月十四日午後、民主党の直嶋正行政調会長は、年金保険料を保険金給付以外に使うことを禁じた「年金保険料流用禁止法案」を参議院に提出し、記者会見でそう強調してみせた。 保険料の使途をめぐって与野党が火花を散らすのは、今に始まったことではない。二〇〇四年の年金国会で、保険料はグリーンピアなどの無用な保養施設建設のみならず、社会保険庁職員住宅の整備から長官の交際費や職員が練習に使うゴルフボール代にまで充てられていたことが発覚した。これまで給付以外に使われた保険料は七兆円近くにもなる。 当時、民主党はこの問題を追及し、世論の喝采を浴びた。その民主党が参院第一党に躍り出た後に初めて提出したのが今回の流用禁止法案だ。他の野党も賛成する意向で、参院での可決は確実。衆院に送付し、世論の支持を背に成立を迫ることで、与党を窮地に追い込む算段だ。 そもそも年金関連法は、給付に必要な事務費について税でまかなうことを想定している。しかし、財政再建の旗を掲げた橋本龍太郎政権は、財政構造改革法によって一九九八年度から事務費に保険料を充てるようにした。同法自体は九八年末に凍結されたものの、旧大蔵省の強い意向により、保険料の「事務費等」への転用は特例で認めることにした。社保庁はこれ幸いと「等」を拡大解釈し続け、保険料を交際費や娯楽費につぎ込んでいった。

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