“虎の子”の大型LNG船をIHIは商売にできるか

2007年12月号

 ボイラー事業の巨額赤字が発覚し伊藤源嗣会長が辞任表明するなど、経営管理能力を問われているIHI。業績浮上が喫緊の課題だが、その鍵となりそうなのが、タンク内の液体の揺れを防ぐ、世界でも独自の「SPB」技術を用いた大型液化天然ガス(LNG)船事業だ。 中東の産ガス国は巨大なLNG生産基地を建設中だが、同時に必要なのが、欧米への輸出増を担う大型船。輸送効率を上げるためにはスエズ運河を通りたいが、それには橋梁の下を通過できる背の低い船舶が必須だ。 既存の球形タンク搭載船を大型化すると橋梁下を通れない。船体内にタンクを備える旧型を大型化すると、タンク内の液体が過剰に揺れて火災発生の危険性が増す。その点、SPB仕様だと火災が発生せず、船舶の高さもクリアできる。 同社は一九九三年にSPB型二隻を建造したが、参入時期が遅く商機を逃した。そこで事業方針を転換し、二〇〇四年に韓国の造船大手サムスン重工業へSPB型の製造技術を供与。大型LNG船の需要が伸びたこともあり、サムスンは今春にSPB型の第1号船を受注。IHIの造船子会社も九月にSPB型関連事業をモナコの企業から受注内定した。 エネルギー需要が急増する中、SPB型は業績を上げる“虎の子”にもなり得る。それでも復活を遂げられなければ、次は会長辞任だけでは済まされない。

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