三たびの合併でも消えないミドリ十字の「烙印」

2007年12月号
カテゴリ: 社会 金融
エリア: 日本

 田辺三菱製薬の葉山夏樹社長(六八)にとって、合併後の初仕事が薬害C型肝炎問題への対応だったのは驚きだっただろう。田辺製薬と三菱化学傘下の三菱ウェルファーマが合併、田辺三菱製薬が誕生したのは十月一日だが、その直後に問題が噴出。ついには旧三菱ウェルファーマが報告した、C型肝炎ウイルスに汚染された血液製剤を投与された感染者四百十八人のリストが厚生労働省の地下倉庫から見つかったことで、薬害問題を放置してきた責任が問われている。リストにはC型肝炎大阪訴訟で国と製薬会社が投薬を否認した患者の名前も含まれていただけに、厚労省と製薬会社の罪は重い。 薬害C型肝炎は、旧ミドリ十字の血液製剤、フィブリノゲンに起因する。同社は細菌兵器の人体実験で悪名高い旧陸軍“七三一部隊”の軍医・内藤良一氏が創立した血液製剤メーカー。非加熱血液製剤によって引き起こした薬害エイズでは二千名の感染者を出し、二百四十億円の賠償金を支払った。 一九八七年に青森県で産婦八人にC型肝炎が集団発生し、止血にフィブリノゲンを使ったことが原因と判明したが、九八年に使用を「先天性低フィブリノゲン血症」に限定されるまで投与され続けていた。その後、C型肝炎に感染した患者が二〇〇二年に国と製薬会社を相手に東京、大阪、福岡、名古屋、仙台で集団訴訟を起こし、一気に表面化。各地裁の判決は、それぞれ違いはあるものの製薬会社と国の責任を認めた。国と製薬会社は控訴したが、今回の事態を受け、最も審理が進んでいる大阪高裁では和解が勧告された。

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