饗宴外交の舞台裏 (119)

台湾化・庶民化が進んだ総統府の晩餐会メニュー

執筆者:西川恵 2007年12月号
エリア: アジア

 双十節(十月十日)は台湾(中華民国)の建国を祝うナショナルデーである。来春、二期八年の任期が満了する陳水扁総統にとって今年は最後の双十節だったが、友好国を招いて台湾の存在を示す格好の機会となった。 現在、台湾が外交関係を結ぶ国は二十四カ国。ほとんどが小国だが、中国の外交攻勢で外交関係の多角化もままならない台湾にとっては重要な国々である。元首クラスではパラグアイのニカノル・ドゥアルテ大統領が招待に応じ、ニカラグア、スワジランドなどは代理を送った。 ドゥアルテ大統領夫妻は八日、台北に到着した。大統領は二〇〇四年五月にも国賓として夫妻で訪れているが、今回は二歳半になる娘を同伴した。陳総統に「娘は台湾国籍です」と紹介し、「前回、貴国訪問中に宿りました」と言って笑わせた。

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執筆者プロフィール
西川恵(にしかわめぐみ) 毎日新聞客員編集委員。日本交通文化協会常任理事。1947年長崎県生れ。テヘラン、パリ、ローマの各支局長、外信部長、専門編集委員を経て、2014年から客員編集委員。2009年、フランス国家功労勲章シュヴァリエ受章。著書に『皇室はなぜ世界で尊敬されるのか』(新潮新書)、『エリゼ宮の食卓』(新潮社、サントリー学芸賞)、『ワインと外交』(新潮新書)、『饗宴外交 ワインと料理で世界はまわる』(世界文化社)、『知られざる皇室外交』(角川書店)、『国際政治のゼロ年代』(毎日新聞社)、訳書に『超大国アメリカの文化力』(岩波書店、共訳)などがある。
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