【ブックハンティング】なぜスポーツニュースは「常套句」だらけなのか

執筆者:生島淳 2007年12月号
カテゴリ: スポーツ 書評

『スポーツニュースは恐い 刷り込まれる〈日本人〉』というタイトルを見る限り、「スポーツ本」に見えるが、これはあくまで「メディア研究」についての本だ。 著者の森田浩之氏はイギリスでメディア学の修士号を取得し、その題材としてスポーツニュースを取り上げたのだが、興味深い指摘が随所に見られる。 森田氏は「この本がやろうとしているのは、見えにくいスポーツニュースのイデオロギーを言葉の向こう側から引っぱりだしてくることだ」と書く。そのイデオロギーとは、女性アスリートに向けられる「無意識のセクハラ」だったり、日本人メジャーリーガーに背負わされる「物語」であったりする。 なかでも興味深い指摘は、スポーツニュースのなかで氾濫している国民のイメージである。 ドイツ人を表現するには「ゲルマン魂」という便利な言葉があるが、そこには強い精神力や規律の高さといった意味がこめられている。 また、ブラジルなど南米の選手を表現するときには、想像性が豊かではあるが、規律が低いといった表現をしがちだ。 そして日本人については、身体能力は諸外国に劣るが、組織力は高いといった表現が使われる。 著者はこうした「常套句」に警鐘を鳴らす。

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執筆者プロフィール
生島淳 1967年生れ。広告代理店勤務を経て93年よりライターとして活躍。著書に『大国アメリカはスポーツで動く』(新潮社)など。
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