食料自給率を激落させる「農政復古」の大罪

執筆者:一ノ口晴人 2008年1月号
カテゴリ: 経済政策・社会保障
エリア: 日本

日本の農業は政治家がダメにする。民主党がばらまきを唱え、負けじと自民党も追随。これでは穀物の自給率は上がらない。 小泉政権と安倍政権で「ホップ、ステップ」と進み、「ジャンプ」するはずだった農政改革は、福田政権になって思いきり「バック」してしまった。その象徴が十一月から始まった政府によるコメの買い支えである。「票田」という言葉そのままに、政治家にとって小規模コメ農家は選挙と切り離して考えられない存在。総選挙の影が自民党にコメ偏重の農政を復活させたのだ。コメ以外の穀物も積極的に育てることで食料自給率のテコ入れを狙った農政改革は、いまや空中分解寸前だ。     * 二〇〇五年に始まり「農地解放以来の大改革」と呼ばれた農政改革の根本思想は、意欲的な生産者を重点的に支援する「選択と集中」と「農産物貿易の自由化」である。 世界貿易機関(WTO)の農業交渉や各国との自由貿易協定(FTA)交渉による農産物の市場開放から日本が逃れることはできない。ならば、国内で「強い農家」を育成し、農産物を輸出できるくらいの競争力をつけてもらう。そのためには、ばらまき型の農業補助金をやめて、意欲と能力のある農家だけを助成する――これが改革の骨格だった。

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